フライフィッシングで山女魚や岩魚は釣れないと、まことしやかに囁かれていた時代のお話。
当時の主戦場は湯川や丸沼で対象もいわば外来魚。
ただ近くの川でオイカワは釣れましたので、全く釣れないことも無いだろうと言う程度の釣り方で、川でフライラインを振っているだけで、そんな太い糸じゃ釣れるわけが無い、と良く他の釣り人に言われたものでした。
学生時代は多趣味で、夏休みにテニスで苗場を訪れ、翌早朝に一人で釣具を持って出掛けて偶然見つけた川で、これまた偶然に釣れてしまったのが山女魚。
透明度が高くて目をこらせばライズの主は見えるはずだけど、水しぶきが上がるだけで全く姿は見えません。
湯川のブルックほどの大きさのライズでは無いのでてっきりオイカワが跳ねているのかと思ったので、湯川で使っている18番のスタンダードフライを結んでキャストすると、着水と同時にドラッグが掛かってしまいます。
それでも工夫して流すとこれに食いついてきました。
オイカワだと思っていただけにその引きの強さに驚き、さらにその魚の美しさに思わず息を呑みました。
20cmちょっとの山女魚。
こんなにきれいな魚が淡水でも居るのかと驚いたものです。
その後も2匹くらい釣ったところでライズは終わり。あとは何も釣れなくなりました。
まさに夏のモーニングライズに当たった様です。
これがきっかけでした。
それから半世紀近くこの地域に通い続けているわけですが、良くも飽きもせずにここまで来ているなと、自分でも感心してしまいます。