今年久々に訪れた越後のとある渓流。
若い頃は良く来た川ですが、開発が進み、今では昔の面影はありません。
ただ上流域にはあまり行ったことがなく、この日は上流を目指しました。
しかし運悪く林道に落石があって途中で足止め。
仕方なく戻ってきたのですが、この川にまつわる話を何気に思い出したのでした。
それは確かお店を開店してまもなくの頃ですので、90年代後半だったと思います。
一度だけご来店のお客様の話で、この川の上流、第六堰堤から上にはツチノコが居て、飛んで襲いかかってくるというのです。
にわかに信じられない話でしたので、その時は聞き流したのですが、長い年月が経った今、果たしてその根拠は何だったんだろうと興味が湧いて来ました。
長年この地には通っていますが、この地方でツチノコの話を聞いたのは後にも先にもこの話だけです。
あらためて地図を見ても、やはり上流に堰堤は6カ所もありません。
どう考えても作り話としか思えませんが、一応ネットで川の名前とツチノコで検索してみると、僅かに引っかかってきたのが「山本素石」の随筆の一文です。
そこには確かにこの川とツチノコを結びつける話が出ていましたが、全文が読めずに因果関係までは分かりません。
本のタイトルは「逃げろツチノコ」、山本素石著、初版は1973年です。
渓流釣りをしている人でこの人の名前を知らない人は居ないでしょうが、ツチノコ研究でも有名な方でした。
こうなるとさらに興味が湧き、さっそくこの本を購入。
読み進むにつれてこれが面白くてあっという間に読み終えました。
昭和を舞台とした山や渓流の話は興味深く、さらに当時のキ印な人達の熱意と根性には驚くばかりです。
こんな人たちが昭和を面白くしていたのでしょう。
今までツチノコは幻だと思っていましたが、この本を読み進んで行く内に実在している気になってきました。
肝心な越後の渓流とツチノコのお話は、ある意味で一番大切な話として最後に書かれています。
次回から森に入るときは周りを良く見てみましょう。