2021年12月

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昭和40年代前半、中二の頃です。
鮒釣り少年の次のステップはヘラブナ釣りと言うのは必然でした。
それまでの道具立てとは全く違った大人の釣りです。

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竹竿がメインの時代に、グラスの振り出し竿で「江戸川」というへら竿があり、これが欲しくて小遣いを溜めて手に入れたときは、ようやく一人前になった気がしました。
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フライで言えばORVISのグラファイトロッドを手に入れたような感じでしょう。

日本ヘラブナ釣り研究会の太田支部というのが近所にあって、中学の時に同級生数名とこのクラブに一時所属していたのでした。
クラブは圧倒的な大人の世界でしたが、会長はじめ皆優しく接してくれました。

それまで自転車や電車で行ける範囲の釣り場がメインでしたが、会長のお誘いで釣り雑誌に出ているような本場と言われた釣り場に連れて行って貰ったことがあります。
まだ車も普及しておらず、自家用車のある家庭の方が少なかった時代に車で行けるのは子供にしてみれば夢のようなお話です。

確か千葉か茨城の野釣りでしたが、まぐれで尺近いヘラブナが釣れてしまって会長に持って帰りたいと懇願したのですが、へら釣りは基本C&R。
持って帰るのはダメだ、と当然の返事。
しかし、会長は車に戻ると墨と半紙を持って来て、あっという間に簡単な魚拓を取ってくれて筆で署名してくれたのです。

今では写真で残すのが一般的ですが、当時は魚拓を取ってリリースと言うこともままあったことです。

こうして遊びを通してルールを学び、学校以外での大人と接する機会を得たことは大きな経験となったと感じています。

しかし高校進学と共にそれまでの釣り仲間とも別々になってしまい、興味もバイクやスキーという新たな世界を知ることで、釣りからは徐々に遠ざかってしまったのでした。

古い釣り具は全般に好きですが、ベイトリールならやはりこれ。
ABUのアンバサダー。

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このリールに魅了されたアングラーも多いのではないでしょうか。
まさにリールのロールスロイスって感じでした。

メカ好きにはたまらないリールの一つですね。

ダイレクトからアンチリバースまで、大小様々です。

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今年最後の入荷です。
北米からの荷物が遅れがちで、これも通常の倍くらいの時間が掛かりました。

今回はフライリールだけでなく、いろいろと入っていますので、少しずつ紹介して行きたいと思います。

アンティークとは定説として100年以前の価値ある品物に対する呼び名とされていますが、実際にはそれほど古くなくともアンティークと呼ばれています。
またビンテージとはそれよりも新しく、モノによっては80年代頃まで既にビンテージの仲間入りをしています。

フライリールに関してもこの辺の垣根がはっきりそしているわけでもなく、感覚的には戦前のものがアンティークで、HARDYに関してはそれ以降ブロス時代までがビンテージといった感じでしょうか。

ブロス時代と言っても既に40年近くは経っていますので、充分に古いリールではあります。

しかしマーキスまでがビンテージの仲間入りというのも同時代を生きてきた自分としてはかなり違和感もありますが、最初の生産からは既に半世紀は過ぎていますので充分にその資格はあります。

さて写真は50年代のパーフェクト。

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こちらは正真正銘のビンテージリールです。

エナメル、ストレートロゴ、メノウガイドリング、MK2チェック。

詳しくはこちらをご覧下さい。

古い一枚の写真の思い出。

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山形県酒田の荒瀬川に行ったときのスナップです。
荒瀬川は日本海側へ流れ混む日向川の支流で、ここの中流域では良型の山女魚がたくさんいるとの話を聞きつけ、初めて訪れました。

まだ関越道も断続的で、ほぼ下道で日本海側を北上すること8時間、本当に遠かった記憶があります。
夜討ち朝駆けでふらふらになって入った里川では噂通りの良いサイズの山女魚が迎えてくれました。

写真は宿泊した平田温泉前での釣り支度の光景。
ここは古びた旅館で、釣り場の近くでは唯一といって言い宿だったのかもしれません。
確か5,6名で車2台に分乗して行ったので部屋も二部屋取ったのですが、この旅館は相当古くて部屋も暗く、驚いたのは床の間に掛けてあった色あせたこれまた古い掛け軸。
落ち武者風の武士が描かれた何かいわくがありそうな少し不気味な絵。
隣の部屋も同じような掛け軸が掛けてあって、夜中に出るんじゃないかとさんざん盛り上がりましたが、疲れもあってすぐに眠りにつくと何事も無く気持ちの良い朝を迎えたのでした。

食事や温泉よりもこちらの方が強烈でしたので良く覚えています。

翌日は宿の近くの川を午後まで釣って帰宅の途につきましたが、車を見ると当時S見さんが乗っていたシビックカントリーです。この車からして1980年代前半の頃でしょう。

若かりし頃の楽しい旅の思い出です。

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