長年ビンテージリールを扱っているとたまに「おやっ」と思う物が出てきます。
リールは作られた時代で特徴があり、ほぼほぼ年代が特定できるのですが、中にはそんな常識を覆すようなリールが出てきたりします。
ほとんどは個人的に改造したモノが多いのですが、中には個人では出来そうに無いようなモノまで出てきたりしますので厄介です。

これらのリールの真偽は分かりませんが、一番考えられるのはモデルチェンジの切り替え時期の新旧合体型リール。
これは結構見掛ける事がありますが、しかしこれらは大きな違いでなく、あくまで細かな違いに終始しています。

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そこで写真のリール。

セント・ジョージ・ジュニアの戦前モデル、と言いたいところですが塗装はエナメルです。
エナメル塗装に変更になったのは戦後で、ラッチカバーも3スクリューから2スクリューに変更になったというのが定説。
またガイドリングは赤メノウは明らかに時代錯誤です。
流石にこれは後付けでしょうがなかなか良い仕事をしています。
通常色つきメノウの装着リールは1920年代モデルまでに多く見られ、それ以降は後付けの可能性が大きいと思います。現に社外パーツとして販売もされていました。

そしてこのリールの問題は塗装。

個人的に塗装したと言うのが一番考えられるところですが、組み上がっている状態で塗装したにしてはうまく仕上がりすぎている気がします。
さらに考えられるのがHARDYによって再塗装された可能性です。
このリールは北米からやってきたのですが、向こうのバイヤーも同じ推測でした。
使い捨てでない時代、メーカー修理も当然普通にあったのでしょう。

ただ本当の事は分かりません。
切り替え時期に残っていた3スクリューのラッチカバーを付けて販売したものも少なからず有った可能性も否めません。

時代が読めないオーパーツのようなリールですが、こういったこともビンテージリールの楽しみの一つでしょう。

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